超理論 vol.1~自転車のブレーキ制動力って!? [超理論]
おはこんにちばんわ。華綺です。
※超理論が冠されている記事 : 華綺さんの偏った知識から繰り出される怪しい理論なので、賛同するもしないもあなた次第な記事
今日は自転車のブレーキに関するお話。 です。
愛車:シェファードのFブレーキ。Shimano BR-450 数少ないロングアーチモデル。冷間鍛造なので、安いが高剛性
いいブレーキほど早く止まれる? それってホントかな…?
続きは追記へ!
まず、「制動」ってどうゆうことでしょう。
※運動、移動する物体の減速、あるいは停止を行う動作 (wikipedia ブレーキの項目参照・改変)
らしいです。つまりブレーキをかけるってことですね。
ということは、よく言われる 「制動力が高い」 というのは、 = 「回転するリムを止めようとする能力が優れている」
ということですね。
しかし、これはあくまで 同じ力を入力したときに効率よく止められる ということであって、早く目的の速度まで減速できる・停止できる という意味ではないのです。
―なぜか。
確かに感覚的には、剛性ガチガチのレバーやブレーキに、摩擦力の高いシューやリムを使った方早く止まれそうな気はします。が、それらは単に、 部品がたわんで力をロスすることを防いだり、摩擦係数を上げているだけ に過ぎないのです。
思い切り踏力をかけた時、フルブレーキをしたとき。 そういった自転車に対しての仕事が最終的に行きつくのは結局、「タイヤと路面の摩擦」です。つまりタイヤグリップですね。タイヤのグリップ力を超えた加速や制動は不可能です。
タイヤはグリップ力の限界を超えた力がかかれば、空転、またはロックします。空転したら当然ほとんどの入力は無駄になってしまうし、ロックしている(タイヤが滑っている)状態では制動距離は必ず伸びます。
ややこしいですが、タイヤが正常に回転している(=滑っていない)状態ではタイヤと路面との間に働く摩擦力は、「静止摩擦力」です。ロックしている(=滑っている)状態では、タイヤと路面との間に働く摩擦力は、「動摩擦力」です。 物理的に、最大静止摩擦力は必ず動摩擦力よりも大きいことが分かっているので、タイヤロック状態では、十分な摩擦力は得られません。つまり、タイヤがロックしている状態は、制動は最大ではないのです(=もっと早く止まれる)。
逆に言えば、「タイヤをロックさせることができるブレーキならそれより弱い入力(手で握る力)で最大の制動は得られるのだから、それよりブレーキを強化しても早く止まれることは絶対にない」 ということになります。
安物のブレーキがついてる自転車(ママチャリでもなんでも)に乗って、ある程度の速度から後輪ブレーキを思い切り引いてみましょう。めちゃめちゃメンテナンスしてないとかじゃなければ、簡単に後輪はロックしてしまうはずです。つまり、最大の制動に必要なブレーキ力は十分備えているということになります。つまり制動距離は、ブレーキ本体ではなくタイヤのグリップ力と路面状況(濡れてるだとか凍ってるだとか砂っぽいとか)にのみ依存するわけです。
更にさらに、車重や体重、搭載荷物量などが大きくても制動距離は変わりません。摩擦力というのはかかっている重力に比例しているので、車重が大きくなればなるほど、その分タイヤグリップも増加するわけです。つまり大きなブレーキ力を使えるため、大きな慣性が働いていても止めることができるのです。まあタイヤの減りは早まりますがw
ブレーキ力は乗り手がブレーキレバーを引く力から、レバーやブレーキアーチの撓み、ワイヤーの伸びといったロスを引いた力にシューとリムの摩擦力をかけることで求められます。つまり良いブレーキや良いシューを使えば、ロスを減らせる=少ない力で大きな制動を得ることができます。が、説明してきた通り、タイヤグリップ以上の制動は起こせません。じゃあなぜ、良いブレーキというものがあるのか?
- 引きの軽さ
- 重量
この二つですね。
説明してきた通り、良いブレーキほど入力した力をロスなくブレーキ力に変換します。つまり、小さい握力でも十分に制動を得られるということで、レースだけでなくツーリングなどでも、疲れているときに効果を発揮します。 さらに、思い切り力をかけているときよりも、軽い力をかけているときの方が握力の調整がしやすいですよね。 よってコントロール性にも影響してきます。
またブレーキというのは意外と重い部品です。現行Dura-Aceですら300g弱ですか。UCI規定のない(最低重量制限のない)ヒルクライムではブレーキも軽量化のポイントです。軽いもので150g程度まで落とせますから。値段はハンパないですが(笑
荷重移動?
加速・減速を行うと、「荷重移動」 という現象が起きます。今回はあくまでブレーキのお話になるので、簡単にしか話しませんが、
基本的に加速をすると、後ろ向きに荷重移動が起こります。自転車では体感しづらいですが、車でアクセルを踏み込むと体がシートに押し付けられるアレですね この現象が起きると、後輪の荷重(後輪にかかる重量配分)が増えますが、逆に前輪にかかる荷重は減ります。 インナーローとかの非常に軽いギアで、ハンドルを押さえつけないようにして思い切り漕ぎ出すと、一瞬浮きますよね? あれは加速による荷重移動で後輪にすべての荷重がかかるため、前輪が浮くわけです。(厳密にはウィリーは荷重移動で起こすわけではない)
逆に減速中には荷重は前のタイヤにかかります。ブレーキを強くかければかけるほど荷重は前タイヤにかかるので、前タイヤのグリップがあがります(その分後ろは下がる)。その為、フロントブレーキの方がロックしにくく、リアはすぐロックしてしまうわけですね。
だから、 フルブレーキを行うときには少しでも後ブレーキを有効に使うために、体をサドルよりも後ろに下げるわけです。こうすることで後輪にもある程度荷重がかかり、リアブレーキを多く引けるようになるわけです。
と、まあウダウダとブレーキ超理論を語りましたが、どうでしょうか!?
結論としては、制動距離はどんなブレーキでも決まっているので、早く止まりたいだけならグリップの良いタイヤを履けばいいけど、引きの軽さやコントロール性は良いブレーキのがいいよ、ってことですね。
以上!
わかりやすかったです。
by 七氏 (2013-03-07 00:29)
>七氏さん
こんにちは。
いま自分の記事を見返してみて、あってはいるんだけどもうちょっと書き加えたいなって部分がありました。
近いうちにまたいろいろ書こうと思うので、お暇でしたら見てってください笑
by Kaki (2013-03-07 09:04)
遊びに来ました。
制動はなんの為にするのか?。
①停止距離が短い方が良い。
②制動コントロールをして適切な車速を保つ
③ブラインドコーナーへのアプローチラインをイメージする為に適切な摩擦円を描く。
ってな感じが気持ち良いブレーキとオッサンは考えてます。
by オッサン (2013-09-25 22:45)
>オッサンさん
はじめまして。
おっしゃるとおりで、①の停止距離はタイヤグリップ以上のブレーキングパワーがあればどんなブレーキでも一緒になりますが、
>②制動コントロールをして適切な車速を保つ
>③ブラインドコーナーへのアプローチラインをイメージする為に適切な摩擦円を描く。
↑のような性能や、ブレーキをかけたときのフィーリングは、安さや軽量性を第一としたブレーキにはないのではないかなーとは思っています。
だから多少重くても、Dura-Aceのブレーキが人気だったりするわけですよね^^
by Kaki (2013-09-26 00:29)